シュティッヒルン:自由なのに、出せない。
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カードを手に持つ。どれを出してもいい。ルール上は、本当にどれでもいい。なのに手が止まる。出したいカードが、出せない理由を持っている。シュティッヒルンは、その「出せない」が積み重なっていくカードゲームだ。
嫌いな色を、自分で決める
ゲームの最初に、各プレイヤーは手札から1枚を選んで一斉に公開する。そのカードの色が、自分の「マイナスカラー」になる。
マイナスカラーとは、取ってしまうと損をする色のことだ。そのラウンドで自分のマイナスカラーのカードを取るたびに、カードに書かれた数字の分だけ点数が引かれる。8のカードを取れば−8点。13を取れば−13点。大きい数字を取るほど、傷が深い。
そして選んだカード自体も取得扱いになる。0以外を選ぶと、それだけで最初からマイナスが発生する。0のカードで宣言すれば痛みなしで始められる。0はどんな場面でも勝負を取れないカードなので、マイナスカラーに指定しても取ってしまう心配がほぼない。
先頭と違う色が、勝つ
このゲームで1回の小さな勝負がどう決まるかを説明する必要がある。
先頭の人がカードを1枚出す。その色が、この小さな勝負の基準になる。ほかのプレイヤーは、どの色のカードを出してもよい。同じ色を出しても、まったく違う色を出してもいい。
問題は、勝負の行方だ。先頭の人が出した色と違う色のカードが出ると、そちらが優先される。違う色が複数あれば、その中で一番数字が大きいものが勝つ。ただし0だけは別で、何色であっても勝負を制することはない。
勝つほど、危なくなる
ここから、このゲームの本当の恐ろしさが始まる。
自分の手に、大きい数字のカードがある。違う色を出せば優先される。その小さな勝負を取れる。取れるのだが——取ると、後続のほかのプレイヤーが困る色を全部押しつけてくる。
自分のマイナスカラーが赤だとする。先頭が青を出した。自分が黄色の10を出すと優先されて勝負を制する。でもその前に、後ろのプレイヤーたちが赤のカードを場に混ぜてくる。赤も優先されるが、10より小さければ負ける。負けても、そのカードは勝負を制した自分が取ることになる。黄色の10で勝ちながら、赤の7や赤の9を一緒に引き取る羽目になる。
大きい数字で勝つほど、相手に嫌いな色を混ぜる口実を与えてしまう。
逃げ方が、読まれていく
マイナスカラーはゲームの最初に全員に公開される。つまり、自分が何色を嫌いかは最初から筒抜けだ。
それでもある程度は逃げられる。先頭の人と同じ色を出しつつ小さな数字にすれば、勝負を取られても自分には関係がない。問題は、その逃げ方が続くうちに手の内が見えてくることだ。あの人は赤を避けている、とわかれば、赤を混ぜる機会を積極的に作ればいい。相手はこちらのマイナスカラーを知っているうえに、逃げ癖まで把握してくる。
逃げながら、どう逃げるかも隠す必要がある。
全員、同じ苦しさを持っている
全員がマイナスカラーを持っているという事実が、このゲームに独特の空気感をもたらす。
自分が嫌いな色を押しつけようとすると、相手も別の色を押しつけようとしている。大きな数字で勝った人が一番狙われ、こちらが安心して逃げ込もうとした小さな勝負が、別の誰かの作戦によって突然混乱する。誰かを苦しめようとした瞬間に、自分も別の方向から苦しめられている。
静かに見えて、場の中でいくつもの思惑が交差している。
こんな人におすすめ
- カードゲームが好き
- 心理戦・読み合いが楽しみたい
- シンプルなルールで奥深く遊びたい
- 3〜6人でさっと遊べるゲームを探している
- トランプゲームが好き
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