RPG・イン・メモリーズ:仕掛けた罠は、自分にも効く
タイルを一枚出す。相手が出す。自分が出す。数手進んだところで、ふと気づく。さっき自分が置いたはずの道が、もう見えない。タイルは山に重ねて置くルールだから、一つ前の道までしか目に入らない。目の前にあったはずの地図が、記憶の中にだけ存在している。
場は、目の前で消えていく
プレイヤーは順番に道タイル、直線や十字路や曲がり路を一枚ずつ場に出していく。ただし置く場所は決まっている。同じ山の上に、重ねていく。だから前のタイルは、次のタイルの下敷きになって消える。地図は場の上ではなく、プレイヤー全員の頭の中で伸びていく。カルカソンヌのようにボードが育っていく感覚とは真逆で、置いた瞬間から情報が減っていく。
勝ち筋は、ひとつだけ
このゲームで勝つ方法は、実質ひとつしかない。誰かが出した道が既に通っている場所とぶつかっていることに気づき、「エンド宣言」する。それだけだ。自分が上手に道を伸ばしても勝ちにはならない。相手のミスを見つけて指摘したときだけ、勝利が転がり込んでくる。
仕掛けにいける
だから、ただ記憶するだけのゲームには収まらない。あえて曲がりくねった道順を選ぶ。相手が覚えきれない状況を作りにいく。混乱を招くタイルを差し込んで、記憶の輪郭をぼやけさせる。相手を先に転ばせるために、道を意図的にややこしくする駆け引きが生まれる。
仕掛けた本人が、最初に忘れる
ところがこれには落とし穴がある。相手を惑わせる道は、自分にとっても複雑な道だ。相手の記憶を崩そうと工夫すればするほど、自分が覚えておくべき情報も増えていく。攻めた分だけ、自分の頭の中の地図がぼやける。しばらく遊んでいるうちに気づく。さっきまで相手の混乱を狙っていた自分が、今いちばん混乱している。
宣言する側にも、覚悟がいる
エンド宣言も、そう気軽なものではない。ぶつかっていない道に対して宣言してしまえば、自分に不利がまわってくる。だから宣言の瞬間には確信がいる。しかしその確信の根拠は、山の下に消えていった何枚もの記憶だ。「あそこ、絶対に十字路が通っていた」と言い切れるだろうか。指を差した瞬間に、少しだけ心臓が跳ねる。
遊ぶほど、頭の中の地図が育つ
最初のうちは、三、四枚重ねただけで道が曖昧になる。でも何度か遊ぶうちに、道の形を絵として覚える感覚がつかめてくる。曲がった角の位置を目印にする、行き止まりの手前で意識を集中させる、そうした自分なりのコツが少しずつできあがる。頭の中に地図を描くという行為そのものが、遊ぶほど上達していく。あの頃、方眼紙にダンジョンを書き写しながらRPGを遊んだ記憶がある人には、どこか懐かしい手触りがあるかもしれない。
こんな人におすすめ
- 記憶力を試すゲームが好き
- シンプルなルールで駆け引きが生まれるゲームが好き
- 短時間でしっかり頭を使いたい
- 昔のRPGの地図を描いた感覚が懐かしい
- ボードゲーム会の一本目にちょうどいい作品を探している
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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