ナショナルエコノミー:苦しいのは、全員おなじだ。
建てては手放し、手放しては建てる。これを繰り返しながら、少しずつ自分の資産を積み上げていく経済ゲームだ。プレイ後に「苦しかった」と言いながら、もう一回やりたくなる。そういう種類の作品である。
労働者を雇うと、苦しくなる
プレイヤーは労働者を職場(建物)に派遣してアクションを実行する。序盤の労働者は2人。手番が2回しかないため、できることは限られている。
だから労働者を増やしたくなる。学校に派遣すれば新しい労働者を雇える。ところが労働者が増えると、毎ラウンドの給料日に支払う賃金も増える。3人雇えば3人分。5人雇えば5人分。しかも賃金はラウンドが進むほど上がっていく。
増やすほど苦しくなる。でも増やさないと勝てない。この板挟みがゲーム序盤からずっと続く。
建てた建物を、手放す
労働者を大工のところへ送れば建物を建てられる。建物には資産価値があり、ゲーム終了時の得点になる。だから建てることが目的になる。
ところが給料日に手持ちのお金が足りなければ、自分の建物を売って賃金に充てなければならない。苦労して建てた工場が、翌ラウンドには消えている。
建てることと、維持することは別の問題だ。いくら資産価値の高い建物を建てても、日々の賃金を賄えなければ意味がない。経営の基本をゲームが容赦なく突きつけてくる。
手放した建物が、場を豊かにする
売却された建物はどこへ行くか。捨て札にはならない。公共の職場として場に残り、全員が使えるようになる。
つまり誰かが手放すたびに、場のアクションスペースが増える。自分が泣く泣く売った建物を、次のラウンドで相手が使う。相手が追い詰められて売った建物を、今度は自分が使う。損失が場の豊かさに変わっていく——この循環がゲームの中で静かに動いている。
家計が枯れると、打てなくなる
お金を得る方法のひとつに、手札を売って家計から収入を得るアクションがある。ただし家計(全プレイヤーが共有する市場の資金プール)にお金が残っていなければ、このアクションは起動できない。
全員が一斉に家計から引き出そうとする場面が生まれる。高収入の職場が出現したとき、誰が先に滑り込むか。家計の残量を横目で確認しながら、自分の手番を計算する。自分一人の問題ではなく、場全体の流れを読む必要がある。
3つの時代、3つの経営
新版には3部作がすべて収録されている。最初の「プログレス」はシンプルな構造で、経済の基本的な循環を体験できる。「メセナ」では勝利点トークンと変動コストが加わり、建物の組み合わせを考える深さが増す。「グローリー」はスチームパンクの世界観で、維持費のかからない機械人形が登場する。
3作とも基本のルールは共通しているため、プログレスで遊び方を覚えてから次へ進める。1つの箱で遊び方が広がっていく。
こんな人におすすめ
- 経済や経営の仕組みに興味がある
- 短時間で戦略性のあるゲームをしたい
- 1人でも遊びたい(ソロモードあり)
- じわじわ上達していく感覚が好き
- コンパクトなゲームを探している
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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