モダンアート:相場は、全員で作る
手札から1枚を選び、場に出す。それだけで競りが始まる。値をつけるのは自分かもしれないし、他の誰かかもしれない。落札されれば出品者にお金が入り、落札した側は絵を手元に置く。単純な仕組みに見えて、テーブルの空気はすぐに張り詰める。誰もが同じ場を見ながら、それぞれ別の計算をしている。
価値は、枚数が決める
このゲームで扱う絵画は5人の画家の作品だ。絵の出来や希少性には関係ない。そのラウンドで多く出回った画家ほど価値が高くなる。1位の画家には3万ドル、2位には2万ドル、3位には1万ドルの値がつく。4位と5位はゼロだ。前のラウンドでどれだけ価値があっても、そのラウンドで上位3位に入れなければ、持っている絵は全部紙くずになる。どの画家を流行らせるか。それが全員の共通の問いになる。
売り手の計算
手札は有限だ。その中から今何を出すかを決めるのが出品者の仕事になる。価値が上がりそうな画家の絵を今出すべきか、もう少し温めるべきか。出品して他のプレイヤーに落札されれば、落札金額がそのまま自分の収入になる。高く売れるほど儲かる。ただし、誰も買わなければ自分で買わなければならない形式もある。強気に出るか、無難にまとめるか。手札を見ながら、場の雰囲気を測りながら、出す絵を選ぶ。
買い手の計算
落札する側にも計算がある。絵の価値はラウンドをまたいで累積する。1ラウンド目に3万ドルの値がついた画家は、2ラウンド目に再び上位に入れば、その分が上乗せされた金額で売れる。早いラウンドで仕込んだ絵が、後半に高く売れる。だから安い段階で買っておく意味がある。ただし、そのラウンドで上位に入らなければゼロになる。利ざやが出る価格かどうか、常にそこを見極めながら入札する。
4つの競り形式
競りの形式は絵画カードに記されていて、出品のたびに変わる。全員が自由に声をかけ続ける公開競りは場が一番盛り上がる。全員が同時に金額を宣言する入札は、開けてみるまで結果がわからない。1人ずつ順番に1度だけ値をつける一声は、最後に声をかける出品者が有利だ。出品者が価格を提示して交渉する指し値は、買い手がいなければ自分で買うことになる。同じ競りでも、形式が変わるだけで悩み方が変わる。
相場は、全員で作る
自分だけが画家の価値を決めることはできない。他の誰かが同じ画家の絵を出品すれば、流行が加速する。乗っかるか、別の画家に賭けるか。誰かが競りを仕掛けた瞬間に、全員が同じ問いを持つ。この絵は買う価値があるか。この価格は適正か。テーブル全体で相場が作られていく感覚が、このゲームの醍醐味だ。
遊ぶほど、読めてくる
最初は相場の感覚がつかめず、気づけば損をしていることが多い。何度か遊ぶうちに、どの画家が流行りそうかの読みが少しずつできるようになってくる。手札から何を出すかの判断も変わってくる。同じゲームなのに、遊ぶたびに違う展開になる。ライナー・クニツィアが1992年に発表したこの作品は、競りゲームの名作として今も遊ばれ続けている。
こんな人におすすめ
- 駆け引きや心理戦が好き
- 経済や株の値動きに興味がある
- 友人と真剣に勝負したい
- シンプルなルールで奥深いゲームをしたい
- 場の空気を読むのが得意(または苦手)な人
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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