ゲシェンク:そろそろ、引き取るか。
カードが一枚、テーブルの中央にめくられる。数字は「35」。誰も受け取りたくない。最初のプレイヤーがチップを一枚置いて次へ回す。次の人も、また次の人も、チップを出して拒む。カードの上にチップが積み上がっていく。でも一人だけ、まったく焦っていない人がいる。
二択だけのゲーム
チップを一枚出してカードを拒むか、カードをそのまま引き取るか。手番にできるのはそのどちらかだけだ。引き取ったカードの数字がそのままマイナス点になり、最終的にマイナス点が最も少ない人が勝つ。チップは一枚につき1点のマイナスを消せる。仕組みはこれだけで、説明は3分で終わる。
連番なら、数字が消える
連番のカードを集めると、得点計算で一番小さい数字だけが数えられる。「33」「34」「35」を持っていれば、合計は33点。バラバラに持てば102点になるところが、一気に小さくなる。だから連番を揃えることがこのゲームの大きな目標になる。どのカードを狙い、どのカードを諦めるか。その判断がゲーム全体を通じてついてまわる。
焦っていない人がいる
「35」が出て全員が困っている中、すでに「34」を持っている人だけは違う。「34」「35」の連番になるから、受け取っても実質ゼロ点。他の人には35点のマイナスでも、その人には何のコストもない。だから余裕でチップを置いて待てる。積み上がるチップを眺めながら、もう少し待とうと思う。
ただし欲張りすぎると、チップを使い果たした誰かが引き取ってしまう。チップも一緒に持っていかれる。「34持ち」はチップを消費しただけで、何も得られなかった。どこで引き取るか——その判断が、このゲームの核心にある。
受け取る側の、それぞれの事情
引き取る人の動機は様々だ。チップが尽きて引き取るしかない人。積み上がったチップを見て「もう十分元が取れる」と判断した人。「そこまで得させてたまるか」と意地で引き取る人。同じカードを受け取る行為でも、その裏にある計算はまったく違う。だから予想外のタイミングでカードが動く。それがゲームの面白さになっている。
相手のチップは、見えない
各自のチップは手の中に隠されている。あの人はあと何枚持っているのか。チップが尽きれば強制的に引き取るしかない——その瞬間がいつ来るかがわからない。余裕そうに見えた人が突然カードを引き取ることがある。隠されたチップの残量を読む駆け引きが、ゲーム全体に緊張感を作っている。
9枚は、最初から抜かれている
3〜35の数字から9枚がランダムに抜かれた状態でゲームが始まる。連番を狙っていても、肝心な一枚が最初から存在しないことがある。「26」と「28」を持っていて「27」が永遠に来ない。2枚バラバラのまま抱えると54点のマイナスだ。つなげるつもりで引き取ったカードが、最後まで孤立したまま終わる。その不確かさが、計算通りにはいかないゲームの空気を作っている。
遊ぶほど、間合いが変わる
何度か遊ぶと、チップを置くタイミングに自分の癖が出ることに気づく。どこまで粘れるか。相手の表情やチップを置く速さから残量を読もうとする。短いゲームの中に、そういう読み合いの積み重ねがある。トルステン・ギムラーが2004年に発表したこのゲームが、長く遊ばれ続けているのはそのためだと思う。
こんな人におすすめ
- ルールはシンプルで、でも駆け引きのあるゲームがしたい
- 3〜7人の幅広い人数で遊びたい
- 短時間で繰り返し遊べるゲームを探している
- 読み合いや心理戦が好き
- ボードゲームをあまり遊んだことのない人と一緒に楽しみたい
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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