クライムホテル:配られなかった、一枚を当てる
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カードが配られる。手札を確認する。全員に配り終わっても、山からは1枚だけ、誰の手にも渡らないカードが残っている。そのカードは伏せて場の中央に置かれる。今回の事件で、犯人が潜んでいる部屋だ。この1枚を当てることが、このゲームの目的になる。
ホテルの部屋を、カードで表す
カードは3色×9数字の27枚。ホテルには27の部屋があり、カード1枚が1部屋に対応している。3階建てで、階と部屋番号の下一桁の組み合わせで部屋が決まる。ゲームが始まる前に、27枚のうち1枚が伏せて置かれる。残りを全員で分け合って手札にする。カードは出されるたびに公開されていくから、場に出た1枚1枚が「これは犯人の部屋ではない」という確定情報になる。理屈のうえでは、公開されたカードを追っていけば消去法で伏せられた1枚に近づける。
一番高いか、一番低いか
順番に1枚ずつカードを出していく。最初に出された色があれば、その色で応じなければならない。ここまでは普通のトリックテイキングと同じだ。違うのは、勝者が二人いることだ。一番高い数字を出した人と、一番低い数字を出した人。この両極に立った二人だけが、ホテルに警官を派遣して推理を宣言できる。中間の数字を出した人は、推理する権利がない。勝ちを狙うか、負けを狙うか。中途半端がいちばん動けない。
序盤は、推理したくない
だが、両極を取れなかったからといって損をするわけではない。中間に落ちた人は、警察署でさまざまな支援行動を選ぶことになる。他人の手札を覗く、カードを交換する、推理コマを動かす、追加点を得る。これがどれも強い。序盤は情報がまだ足りない。推理を宣言しても外れる確率が高い。それより手札を覗いて情報を集めたい。「推理できる立場になったのに、あえて推理しない」という判断すら生まれる。トリックテイキングの勝敗が、そのまま情報戦の役割分担になっている。
当てるほど、得点が跳ね上がる
推理には段階がある。階だけ当てれば2点、部屋番号の下一桁だけ当てれば5点、部屋を完全に当てれば10点。序盤は情報が薄いので階だけ狙う。中盤で下一桁を絞る。終盤に「この一部屋だ」と言い切る。得点の差が大きいから、確信が持てるまでは大きく賭けたくない。情報が積み上がるにつれて、宣言できる精度が上がっていく。この上がっていく感覚が、推理ゲームとしての手応えを作る。
出さなかったことも、情報になる
マストフォローだから、最初に出された色を持っていれば必ず出さなければならない。ということは、その色を出さなかった人がいれば、その人はその色を1枚も持っていないと分かる。カードが場に出ることが「これは犯人ではない」という情報になる一方で、「出せなかった」という事実は他人の手札構成を絞り込む材料になる。誰が何色を持っていないかを積み上げていくと、伏せられた1枚がどの色である確率が高いかも、少しずつ見えてくる。カードの出方だけでなく、出せなかったことからも情報が漏れていく。
情報戦を、顕微鏡で拡大する
普通のトリックテイキングでも、場に出ていないカードから他人の手札を推理するというメタゲームは常に走っている。ただそれは勝つための副次的な思考で、意識される場面は少ない。クライムホテルは、その情報戦の部分だけを取り出して、ゲームの目的に据えている。勝つことは情報を得るための手段になり、負けることも情報を得るための手段になる。トリックテイキングの一部を顕微鏡で拡大して見せられているような、そんな構造の面白さがある。かわさきすすむが手がけた『トリックオブスパイ』のリメイク作。真ん中に落ちても損はしないという設計変更で、全員が最後まで動き続けられるゲームになった。
こんな人におすすめ
- トリックテイキングが好き
- 推理ゲームが好き
- 情報を積み上げて絞り込む感覚が好き
- カードの出し入れから相手の手を読みたい
- 3〜4人でじっくり遊べるゲームを探している
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