藪の中:その証言、信じるか。
テーブルの中央に、3枚の人型チップが裏向きで並ぶ。その隣に1枚、横倒しで置かれたチップ——これが被害者だ。容疑者は3人。犯人は、最も数字の大きい人物。推理ゲームとしては、シンプルな設定に見える。でも実際に遊び始めると、この場には信用できるものが何もないと気づく。
2枚見えて、1枚わからない
各プレイヤーは手牌を1枚確認したあと、それを隣に回す。隣から回ってきた手牌も見る。つまり全員が、9枚のチップのうち2枚の数字を知っている状態でゲームが始まる。3人の容疑者のうち、2人の数字はわかっている。残る1人が謎のままだ。十分に思える。でも、その1人が全てをひっくり返す可能性がある。
「5」が混じると、世界が反転する
このゲームには特殊なルールがある。容疑者の中に「5」のチップが含まれていると、犯人の条件が逆転する。最も数字の大きい人物ではなく、最も小さい人物が犯人になる。自分が見た2枚の中に5があれば、この逆転を見越して動ける。だが、見えていない1枚に5が潜んでいたら、推理は全て裏返る。
チップの置き方が、語りすぎる
手番が来たら、3人の容疑者のうち誰かに自分のチップを置く。これが「この人が犯人だ」という宣言になる。ここからがこのゲームの本番だ。他のプレイヤーのチップがどこに置かれているかは、全員に見える。それは推理の材料になる。でも、それが罠かもしれない。意図的に外れた場所に置いて、他の人の推理を狂わせることができる。目撃者の証言が食い違う理由は、ここにある。
信じるか、疑うか
他の人のチップを手がかりにして犯人を当てたとき、この上ない達成感がある。情報を拾い集めて、筋道を立てて、正解にたどり着いた感覚。でも同じ構造が逆にも機能する。自分のチップの置き方で相手の推理を誘導して、うまく外させたときも同じくらい気持ちいい。探偵であり、容疑者でもある——このゲームはそういう立場に全員を置く。
短く、何度でも
1ラウンドはあっという間に終わる。外した人にはペナルティチップが積まれていき、誰かのペナルティが規定数に達したところでゲーム終了。ペナルティの少ない人の勝ちだ。何度遊んでも、同じ展開にはならない。見える情報は毎回変わり、誰が何を知っているかも変わる。それでも必ず、誰かが誰かを出し抜こうとする。芥川龍之介の短編小説『藪の中』をモチーフに、オインクゲームズが2010年に発表した作品だ。
こんな人におすすめ
- 心理戦が好き
- 短時間で遊べるゲームを探している
- 推理するだけでなく、相手を騙す側も楽しみたい
- 少ない情報の中で考えるのが好き
- 3〜5人で盛り上がれるゲームが欲しい
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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