キャット・イン・ザ・ボックス:カードの色は、観測時に決まる。
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配られたカードを見ても、色がわからない。全部、真っ黒だ。このゲームでは、カードの色は出す瞬間まで存在しない。
色は、自分で決める
手札には1から9までの数字が書かれた、真っ黒なカードが並ぶ。赤・黄・緑・青の4色があるこのゲームで、どのカードがどの色かは一切書かれていない。カードを出すとき、プレイヤーは自分でその色を宣言する。「これは青の5だ」と言えば、そのカードはその瞬間から青の5になる。
ただし条件がある。同じ色の同じ数字はラウンド中に一度しか存在できない。テーブル中央の研究ボードには、色ごとに1から9のマスが並んでいる。「青の5」をすでに誰かが宣言していれば、その枠はもう埋まっている。同じ宣言はできない。
何色で出すかを決めるのは、手札ではなく、ボードの状況と自分の読みだ。
同じ色で返す、という原則とボイド
各ターン、最初に一枚出したプレイヤーが色を宣言する。他のプレイヤーは原則としてその色と同じ色でカードを返す。数字が一番大きい人がそのターンを取る。
ただしいつでも、あえて別の色を宣言することができる。これが「ボイド」だ。ボイドを使った瞬間、自分はその色を持っていないと宣言したことになり、以降そのラウンドでその色は出せなくなる。
手札が多いうちは余裕がある。しかし終盤になると、使える色がどんどん狭まっていく。ボイドを使うタイミングと回数が、手札の自由度を大きく左右する。
パラドックスが、ラウンドを終わらせる
手札に残っているカードで、宣言できる色と数字の組み合わせがひとつもなくなったとき、パラドックスが発生する。ラウンドはその瞬間に終了し、パラドックスを起こしたプレイヤーはそのラウンドで取ったトリック数の分だけ失点する。
終盤になるほど、研究ボードのマスは埋まっていく。「この色のこの数字はもう使えない」「あの人はもうこの色が出せないはず」——他のプレイヤーの残り手札を推測しながら、自分が追い込まれないよう立ち回る。その緊張感がこのゲームの醍醐味で、終盤は全員がひりひりしながらカードを出している。
研究ボードという、もうひとつの戦場
カードを出すたびに、研究ボードの対応するマスに自分のトークンを置く。ラウンド終了時、ボード上でつながっているトークンの塊が大きいほど追加得点になる。ただし事前に宣言した勝利数の予測が外れているとボーナスは入らない。
どの色で出すかの判断は、ターンに勝てるかだけでなく、ボード上でトークンをどこに広げるかにも影響する。一手が複数の意味を持つ構造が、このゲームを単純なカードゲームに見せない理由だ。
切り札は、赤
赤は常に最強の色として機能する。ただし誰かが先に赤を宣言するまで、そのターンの最初の一枚に赤は使えない。
だからこそ、赤をいつ切るかが悩ましい。誰かが赤を出した瞬間、それ以降は全員が最初の一枚に赤を使えるようになる。場のルールが変わる瞬間だ。自分が先に切るべきか、誰かが切るのを待つべきか。その判断がゲームの流れを大きく変える。
遊ぶほど、ボードが読めるようになる
最初は「とにかく矛盾しないように出す」だけで精一杯かもしれない。何度か遊ぶうちに、他のプレイヤーの残り手札をボードから逆算する感覚が育ってくる。あの人はもうこの色が出せない。ならば次は——そういう読みができるようになると、このゲームの深さが別の顔を見せてくる。横内宗幸が2020年に発表したこの作品は、シュピール'22のスカウトアクションで日本人デザイナーとして初めて1位を獲得した。その評価は、遊んでみると納得がいく。
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