犯人は踊る:犯人は、変わり続ける
「犯人はあなたですか?」と聞いて、「違います」と返ってくる。その答えが本当かどうか、確かめる方法はない。推理ゲームなのに、正解が出ない瞬間がある。それがこのゲームを、単純な犯人探しとは違うものにしている。
カードが動くと、犯人も動く
全員に4枚ずつカードが配られ、その中に1枚だけ「犯人」カードが混じっている。犯人カードを手札に持っているのが、その時点での「犯人」だ。ただし、犯人は固定されていない。カードには「左隣に1枚渡す」「全員が右の人から1枚引く」といった効果がついており、ゲームが進むにつれて犯人カードが手札を移り歩く。さっきまで自分が犯人だったのに、気づけば人ごとになっていることもある。犯人の座は、誰もが一度は経験することになる。
「違います」が信じられない
このゲームの緊張感の核心は「アリバイ」カードにある。アリバイカードを手札に持っていれば、探偵に「あなたが犯人ですか?」と指名されても「違います」と答えて逃げられる。犯人カードを持っていても、だ。つまり「違います」という答えには、二種類ある。本当に持っていないか、アリバイで逃げているか。どちらも同じ言葉になる。他の人のやりとりを見ながら、「あの人はどっちで違いますと言ったのか」を考え続けるのが、このゲームの推理の中身だ。
探偵カードを、どこで切るか
探偵カードを出すと、誰か一人を指名して「あなたが犯人ですか?」と聞ける。当たれば探偵の勝ち。外れれば探偵カードは捨て札になり、そのチャンスは消える。ただし探偵カードには制約があって、ゲームが1周するまでは使えない。序盤に持っていても、すぐには動けない。その間にカードが動いて状況が変わる。ようやく使えるタイミングになったとき、自分の読みが正しいかどうかは、もはやわからなくなっていることが多い。
情報を集めながら、読まれている
のぞき見カードを出すと、誰か一人の手札をこっそり全部確認できる。その瞬間、自分は確実な情報を得る。でも周りは、のぞき見をした後の自分の表情や次の行動を見ている。慌てて探偵カードを使えば、何かを見たのだと思われる。何食わぬ顔をしても、不自然に映るかもしれない。情報を得るほど、逆に読まれやすくなる。
犯人の逃げ道
犯人カードは通常、手札に混ぜたまま出すことができない。出せるのは手札が1枚だけになった瞬間、犯人カードのみになったときだ。そこで犯人カードを出し切れれば、犯人の勝ちになる。だから犯人側は、他のカードを少しずつ使いながら手札を減らしていく必要がある。焦らず動けば逃げ切れるかもしれない。ただし、その「焦らない様子」もまた、読まれている。
何度でも、もう一回になる
1ゲームが10分前後で終わるため、終わった直後に「あのとき実は犯人だった」という反省会が始まり、気づくと何周もしている。複雑なルールは何もないのに、遊ぶたびに展開が変わる。2013年に鍋野企画がゲームマーケットで発表したこの作品が、版を重ねて今も遊ばれているのは、そういう理由からだと思う。
こんな人におすすめ
- 大人数でわいわい遊びたい
- 短時間でさっと遊べるゲームがほしい
- 推理ゲームが好きだけど難しいのは苦手
- ボードゲームを初めて遊ぶ人がいるグループ
- 旅行や集まりに持ち歩けるゲームを探している
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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