ウイングスパン:鳥が増えるほど、できることが増える
野鳥保護区に鳥を呼び集めるゲームだ。箱を開けると、170種類すべて異なるイラストの鳥カードが入っている。ペリカン、ハチドリ、タカ。どれも細密なタッチで描かれていて、ゲームを始める前から手に取ってしまう。でも、見た目の穏やかさとは裏腹に、プレイが進むにつれて判断はどんどん重くなっていく。
3列の保護区を育てる
各プレイヤーは個人ボードを持つ。森林・草原・湿地の3列の生息地があり、そこに鳥カードを左から並べていく。鳥を置くには餌が必要で、同じ列の2枚目以降は卵も追加でかかる。コストを払って鳥を置く。それが基本の流れだ。
手番は減るのに、できることが増える
このゲームの核心は、全4ラウンドで手番数が徐々に減っていくことだ。1ラウンド目は8手番あるが、毎ラウンド1手番ずつ削られ、最終ラウンドは5手番しかない。使える時間が少なくなっていく。
それなのに、ゲームは終盤ほど豊かになる。
手番でアクションを選ぶとき、その列に並んでいる鳥カードの能力が順番に発動する仕組みになっている。序盤に森林で餌を取れば1個だが、鳥が増えた終盤は同じアクションで4個まとめて手に入ることもある。手番が減っていくのに、1手番の密度が増していく。この感覚が、ウイングスパン独特の手応えだ。
連鎖が決まるとき
各鳥カードには固有の能力がある。茶色の帯がついた「起動時」能力は、その列でアクションするたびに発動する。卵を産むものもあれば、新しいカードを引くものもある。うまく配置できると、1回の手番で複数の能力が次々と発動し、気づけば大量の資源が手元に積み上がっている。狙って組んだ連鎖が決まるときの爽快感は格別だ。
ただし、170枚のカードはそれぞれ能力が違う。何を引くかは運に左右される。自分が描いた理想の連鎖通りにはいかないことも多い。その不確かさの中でどう組み立てていくか、というのがこのゲームの悩ましいところでもある。
隣の保護区が、気になる
ウイングスパンには、相手の邪魔をする手段がほとんどない。それぞれが自分の保護区を育てていくゲームだ。でも、まったく無関心ではいられない。
ラウンドの終わりに全員で競う「ラウンド目標」があるからだ。「草原に置いた卵の数が最も多いプレイヤーが1位」といった条件が毎ラウンド設定され、その順位に応じて得点が入る。自分の戦略を進めながら、相手の保護区をちらちら確認する。どのくらい差があるか、このまま続けるべきか、方向を変えるべきか。静かな競争が、4ラウンドを通じてずっと続く。
個人目標という、もう一つの軸
各プレイヤーはゲーム開始時に個人ボーナスカードを1枚持つ。「捕食性の鳥を多く置く」「翼長の長い鳥を集める」といった条件で、達成に応じて得点が入る。全員が同じ目標を追いかけるのではなく、それぞれが違う方向を見ている。だから、最後に得点計算するまで誰が勝っているか分かりにくい。
遊ぶほど、引き出しが増える
最初は鳥カードの能力を読むだけで時間がかかるかもしれない。でも何度か遊ぶうちに、序盤どの生息地を伸ばすか、ラウンド目標を意識してどこで方向転換するか、という判断が少しずつ見えてくる。上達していく感覚があるゲームは飽きない。エリザベス・ハーグレイブが2019年にデザインしたこのゲームが、世界中でこれほど愛されているのはそういう理由だと思う。
こんな人におすすめ
- 自分のペースで戦略を楽しみたい
- カードのイラストや細部のつくりにこだわりたい
- 正面からぶつかり合うより、静かに競いたい
- 同じゲームを繰り返すたびに新鮮さがある作品が好き
- 鳥や自然が好き
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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