マラケシュ:方向は決めた。あとは、天に任せる。
色とりどりの絨毯が、テーブルに並んでいく。モロッコのマラケシュ——市場の真ん中に木製の商人コマを置いて、ゲームが始まる。やることはシンプルだ。コマを動かして、絨毯を敷く。ただそれだけなのに、手番のたびに少し悩む。
7×7の市場
ボードは7×7マスの広場だ。全員が同じ商人コマ「アッサム」を共有して動かす。自分の手番がきたら、アッサムの向きを左・右・正面のいずれかに変えて、サイコロを振る。出た目の数だけアッサムが進み、他のプレイヤーの絨毯の上に止まったらお金を支払う。その後、アッサムに隣接するマスに自分の絨毯を1枚置いて、手番が終わる。
方向は決める。距離は、わからない
このゲームの核心は、「方向を決めてからサイコロを振る」という順番にある。どこへ向かうかは自分で選べる。でも何マス進むかは、振ってみるまでわからない。サイコロの目は1・2・2・3・3・4の6面で、出た目によってアッサムは1〜4マス進む。相手の絨毯を避けようと向きを変えても、出た目次第でそこに止まってしまうことがある。逆に、出た目が小さくて相手の絨毯に届かずに済むこともある。意図した通りにはならない——その前提のなかで、どちらへ向けるかを決める。
踏まれると、稼ぐ
アッサムが他のプレイヤーの絨毯に止まったとき、つながっている同色の絨毯の合計マス数分だけお金を支払う。広い陣地を作るほど、踏まれたときの報酬が大きくなる。だからこそ、「あえてリスクをとる」判断が生まれる。相手の絨毯エリアに向かって方向を選び、踏まれることを承知でアッサムを自分の陣地へ誘い込む。サイコロで止まる場所は変わるが、その判断がなければ絨毯は広がらない。どこまでリスクをとるか——この問いが、手番のたびについてまわる。
絨毯は、上書きされる
一度敷いた絨毯が永遠に残るわけではない。後から置かれた絨毯に一部を覆われると、覆われた部分は得点に数えられなくなる。ゲーム終了時に得点になるのは「見えている」絨毯だけだからだ。序盤に広げた陣地が、終盤には半分以上塗り替えられていることもある。自分の絨毯を守ることと、相手の陣地を削ることが、同じ1枚の置き方に宿っている。
接戦になる理由
リードしているプレイヤーの絨毯は、みんなが踏まないように自然と避け始める。すると相対的にお金の移動が止まり、後続がじわじわ追い上げる。大差がつきにくく、最後まで順位がわからない。盤面がカラフルに埋まっていく視覚的な楽しさとは裏腹に、内側では静かな読み合いが続いている。
遊ぶほど、誘導がうまくなる
最初は「踏まれないようにする」だけで頭がいっぱいになる。でも何度か遊ぶうちに、アッサムの動線を読んで絨毯を置く感覚が身についてくる。どこに敷けば踏んでもらえるか、どこに置けば相手の陣地を削れるか。シンプルな手番の中に、そういった計算が少しずつ乗ってくる。ドミニク・エルハルトが2007年に発表したこのゲームは、コンポーネントの美しさとゲーム性の両方が評価され、翌年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた。
こんな人におすすめ
- ルールが簡単なゲームをしたい
- 子どもと一緒に遊べるゲームを探している
- 運と判断が両方あるゲームが好き
- テーブルが華やかになるゲームが好き
- 短時間でさくっと遊べるゲームがほしい
このゲーム、気になったらぜひ実際に遊んでみてください。

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